身辺調査と就職

企業が就職・採用にあたって行っている身辺調査

身辺調査は、就職や転職において一般的に行われるプロセスの一環であり、雇用主や採用企業が応募者や従業員の背景や信頼性を確認するために行われる手続きです。この調査は、採用プロセスの透明性を確保し、企業が適切な人材を選別し、組織にとってリスクのない雇用を確保するための手段として重要視されています。

身辺調査にはさまざまな側面が含まれており、その範囲は雇用主や採用企業の方針や業種によって異なります。以下は、身辺調査で一般的に調査される可能性のある項目についての詳細です。

学歴と職歴:

過去の学歴や職歴は、履歴書や職務経歴書に記載された情報を基に確認されます。これには、学位や専門資格の取得、前職の実績、職務の遂行能力などが含まれます。

信用情報:

信用情報は、個人の信用履歴や借入金履歴、返済履歴などを含みます。信用情報は、雇用者が従業員の財務的信頼性を評価する際に考慮されることがあります。

社会的メディアの活動:

近年では、候補者や従業員のソーシャルメディアの活動が注視されることがあります。これは、個人の行動や言動が企業イメージに影響を与える可能性があるためです。

健康状態:

一部の職種では、健康状態や障害の有無が重要視されることがあります。ただし、これには法的な制約が存在し、差別的な行動は避けられるべきです。

犯罪歴の有無:

特にセキュリティに関わる職種では、候補者の犯罪歴が調査の対象となることがあります。

身辺調査は、採用プロセスにおいて適切な情報を提供し、雇用主が最良の判断を下すための手段として利用されます。一方で、プライバシーの尊重や法的な規制も考慮され、公平で透明性のある調査が求められます。

新卒採用をはじめ、転職者の中途採用時に企業が調査会社などを利用して身辺調査が行われることがあります。

近年は個人情報保護法の整備やプライバシー保護などが重視されたり、不当な差別などへの圧力が高まったりしており、表だって行っている企業はほとんどありません。

もっとも、身辺調査と呼ばずに、採用調査や人事調査、雇用調査といった名称のもとに実施されているケースが少なくないのです。

なぜ身辺調査を行うのか

企業が人材の採用にあたって身辺調査を行うのはなぜでしょうか。

過去にトラブルがあった人間や素行不良の人材を避けたい、すぐに辞めてしまう人材を採りたくないといった事情もあります。

職場内で暴力をふるったり、パワハラやセクハラの過去がある、横領や背任など金銭問題や信用問題を起こしたりしているとなれば、自社の秩序や利益を守るためにも採用したくはありません。

企業の危機管理策としても不可欠というわけです。

もう1つ、体外的な理由として挙げられるのが、公正な選択をして公平に採用するためというものです。

身辺調査をして取捨選択したり、好ましくない人材を排除したりしようとする点で、差別的に感じる方もいるかもしれません。

ですが、企業側としての大義名分は採用における公正な選択を目指すためです。

というのは、履歴書に書かれている学歴や職歴、面接時の口頭申告の内容に偽りがないかや正確性を身辺調査によって確認し、偽装工作をしている人や職歴実績などの内容や話を盛っている人を排除することで、正しい申告をしている人との公平を保つということです。

どのような内容を調べるのか

調査内容は企業の風土や慣習をはじめ、業種や職種によっても異なります。

たとえば、銀行や証券会社、保険会社などは多額の金銭を扱い、マネーロンダリングなど犯罪利用の防止も図らなくてはなりません。

信頼に値する社員を採用し、横領のリスクや犯罪に加担する虞がないかを確認しておきたいところです。

多額の借金を抱えていないかや、暴力団関係者とのつながりがないかなどを調べて欲しいというニーズは少なからずあります。

そのほか、経歴や性格素行、過去の勤務先での勤怠や退職理由、生活状況などの調査を要請することもあります。

企業が採用にあたって実は知りたい内容

  • 前職を辞めた(本当の)理由
  • 経歴詐称がないか
  • 素行の良し悪しや悪い噂

面接時に質問したい内容があっても、今の時代はタブー視されている質問もあれば、尋ねたところで本音が返ってくるとは言い切れない質問もあります。

たとえば、前職を辞めた理由を尋ねた場合、多くの人が「もっと成長したいから」とか「自分の頑張りに対する評価が得られなかったから」などと答えるのではないでしょうか。

「仕事ができなかったから居場所がなかった」「同僚と反りが合わなかったから」「大きなミスをして取引先を怒らせたから」などと正直な話をする方は通常はおらず、マイナス面は隠して前向きでプラス志向の印象を与える理由を出してくるはずです。

そこで、その話が本当なのかを確かめるべく、前職の勤務先での職務能力や勤怠、評価や風評、辞めた理由などをリサーチしたりするわけです。

また、最近増えている履歴書の学歴や経歴、資格などの詐称がないかもチェックが可能です。

知識や技術に期待して採用したら全く仕事ができなかったとか、即戦力を求めているので能力やキャリアに偽りのない人材を採りたいというときに利用されます。

そのほか、就業に影響を与える素行の乱れはないかなども確認が行われることがあります。

近年はプライバシーの保護意識が高まり、社員のプライベートを干渉するのは難しくなってきました。

それでも、可能な範囲で生活の乱れや虐待、DV、セクハラやストーキングなど悪い噂がないかなどを調べるのです。

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