身元調査をしたら結婚詐欺師

ネット社会と言われる現代、SNS上では個人情報が意外にも多く氾濫しています。

名前を検索すると同姓同名である人が何人か出てくる場合もあります。

当然、自ら書き込んだ人もいるでしょうが他人が書いた記事によって検索に引っかかってしまうケースもあります。

これはそんな婚活パーティーで知り合い、詐欺をしようとしたある結婚詐欺師の魔の手から救ったという体験談です。

結婚詐欺師であった彼

当探偵事務所に33歳の女性が交際中の男性について身元調査の依頼が入りました。

この女性の彼とは半年前に婚活パーティーで知り合い、交際へと発展したそうです。

彼は36歳、身長は170センチで80キロ、小太りで毛髪も若はげ気味、決してイケメンにはほど遠い感じではあるのですが誠実で所作に優しさが感じられ、好印象を受けたというのです。

しかもある会社のホームページには課長として名前も出ており、その男性が言っていた勤務先でもあったのです。

ただ写真などは検索しても出てきませんでした。

彼の容姿からか「女性からもてたことはない」「一方的な恋愛しかしたことがない」などと自虐的な言い方もするのですが、「女性にモテるイケメンには仕事では負けたくない」「清潔感やお洒落には気をつけている」といった事も言い、確かにイケメンでは無いが仕事に対しての情熱や一般的な常識は理解している要にも見えたというのです。

付き合っていく上で多少、洋服や装飾品にお金を使っている事には少し気にはなったみたいですが、イケメンなどには負けたくないという気持ちの裏腹にも思え、逆にそんな気持ちが可愛くなったというのです。

付き合ってみても紳士的な所作や気配りは過去の男性たちと比較にならず、特にちょっとした優しさには感動すら覚えたということでした。

食事に行っても飲みに行っても殆ど彼が支払ってくれたのですが、いつも現金払いでちょっとしたプレゼントを買ってくれた時も現金払い、最初は気にもとめなかったのですがカードでの支払いは見たことが無く、一度聞いてみると過去にカードで使いすぎてしまい、支払いに困った事があり、それ以来、クレジットカードは持たないようにしているとの返事でした。

実は何回か飲食した時に持ち合わせが無くてお金を貸してと言われた事があり、いずれも1万円程度でしたが貸したことがありました。

しかし、次に会うときには必ずきちんと返してくれていたのです。

今思えば私を騙す手段のひとつだったのかもしれません。

順調に交際が続き、4ヶ月も過ぎた頃には私は彼と結婚したいという意識も芽生えていました。

いつ彼からプロポーズされるのか待っている自分がいたのです。

知り合って5ヶ月後という期間が過ぎたある日、デートの約束をしていたのですが突然、付いてきてと言われ、一緒に行くと新築マンションの内覧会場でした。

そして彼から「結婚して欲しい。そしてここのマンションの1室を買って新居にしようかと思っているんだ。」と突然、プロポーズ的な事を言われたのです。

私はプロポーズされたという喜びが大きく、マンションの購入のことは余り気にしませんでした。

彼は既に何回かこのマンションを見ているらしく、購入額、ローンの年数、金額等も計算しており、彼は「こんな立地でかなり安い買い物だ」と言い、最初の頭金をある程度積めば、ローンの支払いも月々、この程度の金額で20年くらいで支払えると熱を帯びて説明するのです。

そして「この買い時を逃すと絶対に損をする」と更に追い打ちを掛けるように「自分は800万円はすぐに用意できるよ。君はいくら出せる?」と聞いてきたのです。

彼女は500万円弱の貯金があったのですが「300万円位かな」と答えてしまうと「共同名義で購入しようと思うから、なるべく早く用意して欲しい」と。

「貴方と結婚はしたいです。でも結婚となると両親などにもきちんと紹介してからにして欲しい。マンションについても一生の問題だから今すぐに返答はできない」と答えると「このマンションは絶対に買い得で売れてしまうともったいない。結婚の前に個々で住んでしまってからでも良いのでは。」と。

その場は何とか取り繕い、自宅に戻り、田舎の両親に彼のことを伝えると「あなたが好きになった人だから自分で決めなさい。ただしお願いがあります。探偵に身元調査をして貰いなさい。何も問題がなければ私達は彼に会いましょう」と言ってくれたのです。

そして急いで彼の身元調査を知り合いから紹介された探偵に依頼したのです。

ところがよく考えたら彼の自宅の部屋に行った事は無いのです。

自宅という大きなマンションの前に言った事がありますが、自宅は両親と弟の4人暮らしでまだ行ったことはなく、部屋番号も詳しく聞いていなかったのです。

その他、彼について知っていることは生年月日、出身地、出身大学、現在の勤務先、携帯番号、メールアドレスといったところだけでした。

その後、彼からは「マンションはどうする?」と催促のメールや電話が頻繁に入ってきます。

3日後に探偵から連絡が入り、ある男性の写真と様々な情報が送られてきました。

私の彼と同じ勤務先で出身大学の同窓会名簿にも同姓同名の人物がいたのですが全く別人だというのです。

その写真が当事者で彼とは全くの別人ではないか?という指摘でした。

しかも既婚者で子供もいる人でした。

私は彼のことを信じ切っていたので探偵が間違った人物を調査しているものと思い、やり直しを命じましたが、探偵は勤務先には彼の名前と一致する人物は写真の人物しかいないと言うのです。

また彼の名刺を貰ったことがありますが同じ勤務先の名刺は社章のマークが入った名刺であり、全く別物だったのです。

探偵の言うことに信憑性も覚え、「ではいったい彼は?」という疑問が出てきました。

探偵は更にいろいろと調べてみると言うことでお願いしました。

すると数日後にまた「写真をみて欲しい」と言われ、見てみると本当の彼が写っていました。

これが彼ですと伝えると探偵は「やはり」と言い、この人物の名前は全く違い、居住先も知っていたマンションでは無く、全然違うところでした。

しかも離婚歴が2度あり、現在は独身ですが別の女性と同棲している事実までも調査してくれていました。

私は今までの彼との経緯を探偵に詳しく伝えたところ、「多分、結婚詐欺師の可能性が高い」との指摘。

私は彼に電話しました。

すると「マンション、買う気になった?」と平然と聞いてくるのです。

思わず、探偵から報告を受けた彼の本名を叫び、「騙していたのですか?」と伝えるとプチッと電話を切り、その後何度も掛けても出てくれません。

そして翌日には電話も使えなくなったのです。

探偵は「彼の身元は押さえてありますので逃げ切れないですよ」と。

今後は探偵に紹介して貰った弁護士と相談し今後の事をどうするか考えていますが300万円という私にとっては大金を預けなくて良かったと思っています。

結果的に金銭的損害は探偵のお陰で免れましたが精神的なショックは大きく、人間不信にも陥りそうです。

探偵からの提言

最近ではネットなどのやり取りだけで相手を信用してしまい、金品をだまし取れる詐欺事件も多発、このケースでも相手は騙すつもりで接触してきているという悪質なケースでしたが金銭的な被害を未然に防げたことは良かったと思っています。

確かに結婚を餌に詐欺してくる男女は存在しています。

この結婚詐欺師に騙された人の精神的、金銭的被害は多大なものと思っております。

防御策のひとつとして最初から相手の言うことは信じないという訳ではありませんが交際する前に相手について身元調査をすることは大事な準備だと言うことです。

企業の取引でも企業調査などの信用調査を実施して与信を調べることは当然の世の中です。

個人に対しても同様だと言うことは肝に銘じておくことで詐欺被害を免れるのです。その為の身元調査は重要と再認識して下さい。